個人事業主の経費はどこまでOK?


小西公認会計士事務所コラムvol.13

【個人事業主の経費はどこまでOK?】

早いもので12月も後半になりました。年が明けると確定申告シーズンがすぐですね。今日は確定申告期に質問の多い個人事業主の経費の範囲についてご説明したいと思います。

まずは法令から確認していきましょう(読むのが面倒な方はまとめから読んでいただいても構いません)。必要経費については所得税法の37条に定められています。

所得税法(必要経費)

第三十七条  (中略)必要経費に算入すべき金額は、別段の定めがあるものを除き、これらの所得の総収入金額に係る売上原価その他当該総収入金額を得るため直接に要した費用の額及びその年における販売費、一般管理費その他これらの所得を生ずべき業務について生じた費用(中略)の額とする。

上記の別段の定めとして、家事費は必要経費に該当しない旨同45条で定められています。また家事関連費(家事に関連した経費)については、業務に直接必要であったことを立証できる部分以外は経費にできないとされています。この点、施行令の96条に定めがあります。

(家事関連費等の必要経費不算入等)第四十五条  居住者が支出し又は納付する次に掲げるものの額は、その者の不動産所得の金額、事業所得の金額、山林所得の金額又は雑所得の金額の計算上、必要経費に算入しない

 家事上の経費及びこれに関連する経費で政令で定めるもの

施行令(家事関連費)第九十六条  法第四十五条第一項第一号 (必要経費とされない家事関連費)に規定する政令で定める経費は、次に掲げる経費以外の経費とする。

一  家事上の経費に関連する経費の主たる部分が不動産所得、事業所得、山林所得又は雑所得を生ずべき業務の遂行上必要であり、かつ、その必要である部分を明らかに区分することができる場合における当該部分に相当する経費

二  前号に掲げるもののほか、青色申告書を提出することにつき税務署長の承認を受けている居住者に係る家事上の経費に関連する経費のうち、取引の記録等に基づいて、不動産所得、事業所得又は山林所得を生ずべき業務の遂行上直接必要であつたことが明らかにされる部分の金額に相当する経費

まとめ

以上の法令及び過去の裁決例等を基にまとめると、個人事業主の必要経費になるためには以下の要件が必要になります。

1.業務と直接の関係性を持つこと(直接性)=>間接的な関係ではダメ

2.業務の遂行上通常必要なものであること(必要性)=>必要性がないものはダメ

3.家事関連費(家事と関連する経費)に関しては、業務上直接必要であったことを取引の記録等に基づいて明らかにされる部分であること(明確性)=>業務上必要だった部分が明確にできないとダメ

いかがでしょうか。恐らく多くの個人事業主の方が思っているよりも厳しい要件になっているかと思います。特に3つ目の要件に関しては立証責任は納税者側にあると考えられていますので、きちんと証拠を残しておく必要がありますので注意しましょう。

事例

国税不服審判所が公表している事例をご紹介したいと思います。不動産所得者が、そのテナント代表者やかつての勤務先である銀行の後輩を接待相手としたゴルフ代金が必要経費になるかという点が争われました。 

納税者(=請求人)は

(イ) 請求人は、賃貸物件の補修の必要性や、家主である請求人に対するクレーム等を把握し、これらに対応することで、賃貸物件を優良なテナントに長く貸し付けることができるよう、テナント代表者等に対するゴルフ接待を行っていた。

(ロ) また、請求人は、種々の情報を得て不動産の購入を容易にし、購入資金の融資の点でも有利になるよう、かつての勤務先銀行の後輩等に対するゴルフ接待を行っていた。

と主張しました。

しかし、審判所は

請求人が接待の相手方であると主張する者のうち、A社等のテナント代表者等については、請求人の不動産所得に係る業務の遂行とは、直接関係がないといわざるを得ない。

また、請求人自身のテナント代表者等及びその関係者についても、請求人が、賃貸物件の補修の必要性や、家主である請求人に対するクレーム等を把握するために、これらの者とゴルフをする必要があったとは認め難く、上記1の(4)のハのとおり、請求人が、Q町ビル及びS町物件等について、A社にその修理等を委託していることも考え併せると、請求人の不動産所得に係る業務の遂行上、これらの者とゴルフをしなければならない必要性は認め難い

さらに、かつての勤務先銀行の後輩等とゴルフをすることによって、間接的に、不動産貸付業に有益な情報が得られる場合があるとしても、これらの者とゴルフをすることが、業務の遂行上直接必要であったとまではいい難い

(中略)

本件ゴルフ代は、結局のところ、請求人の趣味・し好としてのゴルフプレーのために支出された家事上の経費であると評価せざるを得ず、家事費に該当するから、請求人の不動産所得の金額の計算上必要経費に算入することはできないというべきである。

(中略)

なお、本件ゴルフ代が、上記(ハ)のとおり、家事費としての性格を有する以上、仮に、本件ゴルフ代のうちに請求人の業務の遂行上直接必要である部分が含まれているとしても、家事関連費に該当するというべきであり、請求人は、業務の遂行上直接必要である部分を記録等に基づいて明らかにしたとはいえないから、いずれにせよ、本件ゴルフ代は、その全額について請求人の必要経費に算入することができないというべきである。

と判断を下しています。上記の要件である、直接性、必要性、明確性という観点から評価いていることが分かるかと思います。実際にはこのような経費を計上している事業者は一定以上いるのではないかと思われます。しかし、実際に税務調査で否認され、審判所でも負けていますので注意して計上するようにしましょう。

出典:国税不服審判所WEB

公認会計士・税理士 小西

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